連続講座「生命力と人間」のご案内

人間は、「心で生きる生物」です。
しかし、どうしてこんなに不思議なことが可能なのでしょうか?

人体は60兆個の細胞からなると言われています。
人体には、6×10の27乗個(6000杼個)もの原子が存在しています。
人体はこの一つ一つの原子が体内のどこにあるべきか?
どれくらい電子を持っているべきかまでも調整しています。

無数の目に見えない働きによって私たちは生きています


この途轍もない生命現象が、一体に何によって生み出され、どのように私たちの人生を突き動かしているのか?ということに、本講座は迫っていきます。

38億年前にはじめて地球上に生命が誕生して以来、生命は一度も絶えることもなく命を繋いできました。種を越えた無数の命のバトンを経る中で生命は進化し、私たち人間は生きています。

素粒子が原子・分子を構成し、それらの無限の相互作用が生み出すネットワークが生命を誕生させました。物質には、「助け合ってチームを形成する力」があります。このチームを形成する力が生命現象を生み出していることが、理論生物学の研究成果によって明らかになっています。

こうして誕生した生命は38億年かけて進化を遂げて、心で生きる生物、人間を生み出しました。それでは、物質からなる「脳」はどうやって「心」を生み出しているのでしょうか?脳と心の発達の関係はどうなっているのでしょうか?

脳を「生き残るために予測する臓器」として捉えるこの15年ほどの脳科学の進歩は、これらの問いにかつてない精度で答えを出しています。
現代の生物学は、生きていることを支えている仕組みを驚くべきほどに明らかにしています。

そしてこの生物学の進化は同時に、科学によって絶対に「説明不能なものがあること」も明らかにしています

人間は、形あるもの=身体(形而下)と形ないもの=心(形而上)の双方に跨った存在です。心は形を持たないで実在しています。
の人間を創り出した宇宙の深遠な性質に迫っていく時、心で生きる生物としての人間の生きる道が浮かび上がると思います。

連続講座「生命力の人間 〜宇宙の何が人間を創ったか〜」では、現役医師でNPO法人ヒトの教育の会理事である冨永晃輝が、最新の生物学の知見を切り口に
「心で生きる人間」を生かしている「生命力」を描きます。

心を大切にして生きるとはどういうことなのか?
決して目に見えないけども存在しているとしか思えない
「ごまかせない思い」、「真心」、「魂」
を大切に生きたいと思う方にお届けしたい


生物学的に裏打ちされた生命論

それが連続講座「生命力と人間」です。

「無限の⽣命⼒〜物質がチームになった時、⽣命が誕⽣した〜」

理論生物学は、複数の化学反応がチームとなって連鎖反応を引き起こす過程に「生命」が誕生することを明らかにしました。

集合的自己触媒集合」と呼ばれるこの生命の原理は、
生命が生き続けるための条件
生命がどうして、どれぐらいの速度で進化するのかを示しています。

人体もまた、6000杼個の原子が助け合う壮大な集合的自己触媒集合を形成することで生きているのです。
「生命とは何か?」、現代生物学の到達点をお伝えいたします。

右写真:「WORLD BEYOND PHYSICS:生命はいかにして複雑系となったか」2020 スチュアート・A・カウフマン 森北出版

宇宙は、未知に向かって突き進む

物質の動きが全て因果関係で動いているのならば、宇宙で起きることはあらかじめ全て決まっているのでしょうか?
この問題に挑んだのがノーベル化学賞受賞者であるイリヤ・プリゴジンです。
プリゴジンは、物質の共鳴現象には「計算不能」な状態が頻繁に立ち現れることを明らかにして、宇宙で何が起きるかはあらかじめ決定されていないことを示しました。宇宙は未知に向かって突き進んでいるのです。

量子重力理論の世界的権威である、カルロ・ロッヴェリは、この世の最小単位を探るとそこに広がる世界では、時間とも空間とも物質とも言えない「出来事」が無限に続いていると主張しています。そして、この無数の出来事がどんな力によって生み出されているのかは言及不能です。この宇宙はそもそも動いていて、何かの力によって動いているものではないのです。

宇宙は、未知に向かって突き進み続ける性質を有しています。
この宇宙の性質があったからこそ、物質は新たな関係性をもって複雑に進化することができたのです。生命が生きることを可能にしている宇宙の性質に迫ります。

生命を貫く、生き残る力と豊かに生きる力の創発関係

未知に向かって突き進む宇宙は、

・ 物質が助け合って生きる力と
・ 何が起こるか分からない脅威

の双方を生命に与えました。
生命の歴史は、生き残る力と豊かに生きる力の創発によって発展してきました。このことを進化史の重大な局面を辿りながら見ていきます。

そして、生き残る力と豊かに生きる力の創発関係は私たち人間にも通じています。偉大なものを仰ぎ、守るべきものを守るための労苦が、人生の本当の豊かさとありがたさを与えてくれるという原理があると思わざるを得ません。

生き残るために予測する脳が、豊かな心を創っている

進化によって多細胞化した生物は、数十兆個の細胞を協調させて環境との調和を果たさなければいけません。これを実現する過程で進化した神経系は、脳を生み出しました。

脳は、何をしている臓器か?
この15年ほどの脳科学の結論は「予測」です。
脳は生き残るために、「今何をすべきか?」を予測し続けていることが分かってきました。

脳はこの予測の精度を上げるために、過去の経験や学習した概念を用いることが分かっています。また、その行動を実行するために各臓器が使用するエネルギーの配分を調整しています(自律神経・内分泌系)。
これらの総合的な情報処理の過程で脳は、
どんな状況にいるのか?
何をするべきなのか?
体が適応できているのか?」を文脈化し、

今をどんな思いで生きるのか?」という
」で生きることを実現しています。

脳の無意識の働きによって、どのように心が動いているかを解説いたします!

心で生きる生物、人間の姿は?

  • 身体は、未知に向かう宇宙に支えられ、無数の粒子が助け合ってチームとして連動することで機能します。脳が、過去の経験をもとに生き残るために何をすべきかを予測する過程に心が生まれます。
  • 一方で、心の感覚は、脳をどれほど調べても出てきません。脳は、感情を知的に学習するが、脳がその感情を予測として選択したときに心ははじめてその感情を経験します。心は、感情を経験することで豊かになります。愛も魂も真心も、目に見えない心で実感することでのみ実在を確認できるのです。そうして、心の価値を受け継いできたのが人間です。
  • 私たちが生きていることは、目に見える力と目に見えない力が支えあって実現しています。脳は無意識のうちに情報を処理し、心は感覚として現れます。古今東西の人類が最高の生き方としてきた「」で生きる境地とは、心の次元にある価値を信じ、体現する生き方ではないでしょうか

    私たちを生かしている生命力の深遠さを、みなさんに実感していただきたいです!
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「生命力と人間」過去の参加者の声

新しい知識を得ることは、とても楽しく、また内容が、私自身いちばん愛おしく神秘的に感じている「生命の誕生」がテーマであるため、話を聞くにつれて引き込まれていきました。
 タイトルにある「助け合う力を持ったとき、生命が生まれた」に生命誕生には大きな「温かさ」を感じました。期待していたとおり、「集合的自己触媒集合」の説明で、その「温かさ」が「生命力」につながりました。(「助け合う」というフレーズにひきずられているだけかもしれません、ならば、「助け合う」に変わる表現はありますでしょうか?)
 DNAの複製、ヌクレオチドの話、生命にしかみられないもの、などの話を聞いてからは、自分自身の体の中の細胞に意識がいき、その意識をもつことだけで、心と脳の興奮を覚えました。目の前に居る愛猫のリッツや外の木々にも神々しさを感じました。
長い間、教育に携わり、子育てもしてきましたが、「生命の誕生のシステム」や「生命の秩序」「生命の未知なるもの」へ知識を持たず、意識も持てず来てしまい、ただ「自身の人生で得たもの」、「勘」しかありませんでした。
「生命力と人間」を学ぶことで「人間の未知なる可能性」を知り、今より「良く」生きていける人間になりたいと思います。
 今回の講座では、生物全てへの愛が深まり、高揚しています。

(50代女性 教育関係者)
最初に冨永先生が「今までの自己の信念や培った常識を揺さぶられるかもしれません」と言われて、そんなことはないと考えていましたが、今まさに激しく揺さぶられて呆然としていながらもなんとなしに細い道筋を感じています。
そして「人が生きる意味」とかについて根底から考え直すいい機会をいただいています。
今回の講座で脳も臓器の一つとして、その予測する機能と過去の記憶の延長線の情動を形成することが「心」へと導かれたように感じています。
大変難しく複雑なネットワークを一つの図にまとめていただきよく理解しました。
情動の意味世界を「心」と「身体」、「外界」と「行動」とその土台の「文脈予測」がなんとも「心理学」の原点になっていてとても興味深く感じました。
(60代男性 事業者)
見出し
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私は、真理や本質を掴みたいと、ずっと思ってきた。そして、それは絶対神のように確固たる揺るがない1つのものであって欲しいと願ってきた。確固たるものに対峙することで、自分の立ち位置を明確にして、自己を安定させたかったからだと思う。しかし、揺らぐ現象こそが「存在と時間」の本質であるという。being ではなく、becoming! 衝撃的だった。私はたった1つの本質を渇望するあまり、揺らぐ本質を固定化しようとしていたのだ。本質を、手持ちの知性で掴みたかったのだ。しかし、本質は相互作用で決まる予測不能な領域を持つ現象であった。冨永先生の講義のおかげで、流動が本質のものを固定するのは、身勝手な決めつけに過ぎないと悟ることができた。
 共鳴した状態は、何が起こるか計算不能であるという。それは、何でも起こりうる確率がある空の境地だろうか? 共鳴のとき、私は相手にもなれるし、相手が私にもなれるし、また、何者でもない第三のものが生まれるかもしれない。つまり、色は色と出会い、共鳴し、固定化した色から解き放たれる。そして、共鳴現象という新たな色が生まれ出るが、私たちは、共鳴の色を事前に知ることはできない。だからこそ、その未知の偉大さに身を委ね、安らぐことができるのではないだろうか。
 また、共鳴は物理法則や自我の恣意性から解放された「純粋」を体験できる貴重な機会であると思う。共鳴=純粋=空=「直観が降り注ぐ」というイメージが湧く。そして共鳴のとき、直観という内なる神との再会を果たすような気がする。共鳴は自分だけでは起こらず、共鳴に相応しい相手(神、人、本であろうと)を得ることでそうなれることは、私たちは関係することで存在するという原理を、温かな気持ちの中で思い出させてくれる。
(30代女性 出版社勤務)
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講師 冨永晃輝

NPO 法人 ヒトの教育の会 理事
2020年 九州大学医学部医学科卒業
現在 都内病院勤務
連続講座「生命力と人間」他、各種講演会、
関東・関西・福岡で「人間教育研究会」を開催。

著述家 執行草舟氏との対談動画

生涯3万冊以上の本を読み、三島由紀夫、小林秀雄、竹本忠雄氏などと交流を持ち、日本最高峰の著述家として名高い執行草舟氏との対談動画です。執行氏は、冨永を「今の若者の中ではいないほど科学を究めている」と評し、執行氏が提唱する「近代のニヒリズムを克服した新しい文明(霊性文明)のリーダーになる人間」として冨永に期待を寄せています。本講座では、現代生物学に加えてゲーテ、ライプニッツ、ユング、アンドレ・マルローなどの思想を盛り込み、「科学を超えた生命論」をお届け致します。
⇨ 執行草舟氏 公式サイト

「生命力と人間」に基づいた研究会が全国3カ所で行われています。

「人間とは何か?」その根源に迫る「生命力と人間」は、参加者に大きな感動を与え、講座の参加者を中心とした研究会が開催されています。

関西・福岡で開催される「生物学的人間教育研究会」は、
全国唯一の
生物学に裏打ちされた「心の発達」の仮説に基づいた教育研究会として、
多くの教育者の注目を集めています。

東京で開催されている「日本人類未来研究会」は、
存亡の危機にある日本と転換期にある文明の未来を見据え、
「人間とは何か?」の深い理解に基づいた未来研究を行なっています。

「生命力と人間」を受講される方は、ぜひ研究会にもご参加してみてください!
人間教育研究会ホームページ

「生命力と人間」 講座概要

全5回 午前10時〜12時(講義90分+30分質疑応答) 開催⽅法:オンライン
全回、アーカイブでの視聴が可能です!!
毎回の間に⾃由参加のオンラインでの質問会・交流会を予定しています。

第1回 2023年5⽉14⽇:「無限の⽣命⼒〜物質がチームになった時、⽣命が誕⽣した〜」
第2回 6⽉11⽇:「未知に向かって突き進む宇宙の偉⼤さを知れ」
第3回 7⽉9⽇:「⽣物の進化を貫く⽣き残る⼒と豊かに⽣きる⼒の創発」
第4回 8⽉13⽇:「⽣き残るために予測する脳と⼼で⽣きる⼈間」
第5回 9⽉10⽇:「宇宙の⼈智を超えた原理を仰ぎ、道を突き進むのが⼈間」

講師:冨永晃輝(NPO 法⼈ヒトの教育の会理事、医師)
会費:⼀般 15000円、会員 10000円 (途中辞退の場合、回数に応じて返⾦致します)

問い合わせ先:E-mail:office@hito-kyoiku.com

NPO法人 ヒトの教育の会

福岡県福岡市南区西長住1-11-10-101
TEL:092-555-3902  FAX:092-555-3905
E-mail:office@hito-kyoiku.com